分子は分子集合体として、また単一分子のコンホメーションとして、
溶液、表面、細孔、そして真空など与えられた一定の環境下において
温度、圧力、濃度の関数としてある法則に従って自発的に多様な構造を形成する。
水溶液中におけるミセルや膜の生成、またタンパク質の折れたたみなどは
これらの典型的な例である。
このようにして生成したナノスケールの分子構造体は
オングストロームレベルやバルクでは見られないふるまいを示し、
化学的、生理学的、そして電気、磁気的に有用な機能を有し、
新たな工業的応用に大きな期待が寄せられている。
しかしながら、これらの、分子集合体がどのような法則に従って
特定の構造を形成し、自己組織化していくかについては
これまでほとんど明らかにされていない。
このため、分子を用いたナノテクノロジーを新たに展開しようとする時、
すべては経験に頼らざるを得ない状況にある。
本研究においては、上述のような構造形成の原理・法則を
自由エネルギーに立ち戻って明らかにした上で、
ナノスケールの分子集合体や単一分子に対して、
分子の種類とそれがおかれた温度、圧力、濃度などの環境を変数として、
膜融合までを視野に入れた新たな構造予測技術を確立する。
一方で、自己組織化により形成されたこのよな構造に基づいて発現される機能に対し、
分子レベルからの系統的な理解を得て、
ナノ分子集合体が示す機能予測を行うための
シュミレーションの方法論も同時に確立する。
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